「青?」
「そ。例えるなら…これかな?」
すっと指さしたのは自分の頭の上。つられて見上げると、夜明け前の薄っすら白み始めた空が広がっていた。
視線を戻すとにっこりと笑っていた。
「綺麗だろ?」
「まぁ…確かにお前の目も青いけどな…自分で言うか?普通」
一応怪盗のくせに。
「既に素顔はばれてるから問題ナシ」
「あそ」
呆れて思わずため息が漏れた。
黒に近い青。光の中でしか見ることのできない色……。
「俺が空の青なら、名探偵は海の青…かな?」
それに名探偵は『光』だしね?
「またくだらないことを…」
「失礼な」
「まぁいい。で?その意は?」
「…場所によって色が変わるよな」
少なくとも、北極とハワイでは海の色は違うしな〜。光の場所によっては強かったり弱かったりするし?
ニヤニヤ笑いながら話す怪盗を俺は目を細めて睨みつけた。
「……」
真面目に聞いて損した気分だ。
「名探偵の普段の顔、警察の方々が見たら卒倒す…るっ!?」
尚も話を続けようとする怪盗に勢いよく右足を振り上げた。怪盗の顔が一瞬引き攣り、素早く後ろに引いて避けた。
「避けんなっ」
「普通避けるだろ!?その蹴り食らったら間違いなくひび入る…ってしかも今ダイヤル回しただろ!」
「ちっ…ばれたか」
「このやろう…」
怖々とさっき立っていたところまで戻ってきた。それでもいつでも避けれるようにしているのが分かる。なら戻ってこなくていいのに。
「ったく、キック力戻ったならそのシューズじゃなくていいんじゃねぇのか?」
「便利なんだよ」
「あっそ」
やれやれという風に肩を竦めてみせる。気障な奴め…。
「まぁ確かに色が違うってのもあるけどさ」
「…なんだよ」
まだなんかあんのか。
「空が青いのは光があるからだろ?」
太陽光線と空気の関係な。
「…?」
意味が分からないと首を傾げると、ふっと優しく微笑んだ。
「俺がいるのも名探偵のおかげってこと。名探偵は俺にとっての光で、何よりもなくてはならない存在なんだよ」
ゆっくりと怪盗が笑って、でも真剣に話すものだから思わず顔が赤くなるのを感じた。
「な、何言ってやがるんだ。バーロッ」
「まぁそう照れるなって」
「照れてねぇっ」
フイっとそっぽを向いて顔を背けた。
すると、急に後ろから抱き締められた。
「おい、キッド?」
「確かに海と空は違うものかもしれねぇけどさ、でも…交わる時はあるだろ?」
普段は天と地。全く別の場所にあるものだけれど…。
「…………………」
「……なぁ、名探偵。海見に行こうぜ。夜明け前の海」
「は?」
「今からじゃなくていいからさ、絶対一緒に見に行こうぜ。な?新一」
「……快斗…」
こんな場所では滅多に呼ばない俺の名前…。
ふぅ…と息を吐いて頭の上のシルクハットを叩き落した。
驚いた顔をした快斗を無視して、ふわふわとした柔らかい髪をくしゃくしゃと撫でてやった。
「…お前が連れて行けよ」
「!もちろん!!」
嬉しそうに笑う快斗の顔を見て、俺まで自然に笑みが広がった。
……本当は、ただでさえ冷える夜明けに海なんて行きたくない。
でも、空と海が交るその光景をコイツとなら…見てもいいかな…って少しだけ思ったんだ。
***
大分前に書いたものを携帯から発掘。
空が青い理由は確か太陽光線と空気の関係な…ハズ。
海が関係するのはむしろ月ですよね?潮の満ち引き…海は月に引き寄せられてるんじゃなかったでしょうか?
……曖昧な知識。本気にしないでくださいね?