チリっと腕に焼けるような痛みが走った。

「ソロ!後ろ!」

鋭い声に背後を振り返るのと同時に剣で敵を薙ぎ払った。
相手が倒れたのを確認し、辺りを見渡すが予想以上に的の数が多い。

「…ピサロ、頼む」

銀の髪の男が嫌そうに眉を顰めるのを見て思わず口元が緩む。

「さっさとしろ」
「わかってる」

目を閉じて呪文を詠唱している間、銀の髪の男――…ピサロは襲ってくる敵を撃退していた。

「…ギガディン!」

眩い光が辺りを包み、激しい落雷と共に魔物達は息絶えた。

「ありがとう。ピサロ」
「……」

礼を言うとピサロは無言でソロの腕に触れた。

「え…?」

ふわっと暖かいものが腕を包む。

「他にはないだろうな」
「あ、あぁ…ありがとう」

そういえば…とすっかり怪我が治っている腕を見下ろした。少し服が破れているが、後で繕っておけばいいだろう。

「ソロさん、怪我はないですか?」
「あ、クリフト…俺は大丈夫だからマーニャの方頼むよ」
「わかりました」

立ち去る神官を見送りながらソロはクスッと笑みを零した。

「なんだ」
「いや?なんか最近俺の怪我、ピサロに治してもらってばかりだなーって思ってさ」

一応自分でもできるけど?
と相変わらず不機嫌そうな顔の魔王様を見上げた。

「…お前はいつも自分の怪我を後回しにするだろう」

後で悪化して迷惑するのはこちらだ。
と冷たく言い放ち、馬車の方へ歩いて行った。

「へぇ…?」

クスクスと笑いながらピサロの横まで駆けて行くとまたさらに眉間に皺を寄せる。

「心配してくれてるんだ?」
「…誰がそう言った」
「元魔王様」

ピクッとこめかみが引き攣ったのが見えた。眉間には紙でも挟めそうなほど深く皺が寄っている。

「あ、そんな顔してるからロザリーさんが呆れてマーニャの影響受けるんだよ」
「……」

結構痛いところを突いたらしい。

「おーい。ピサロさん?」
「……」
「ピーサーロー」
「……」
「…変態元魔王」
「うるさい」
「お、やっと反応した」

ニコニコと見上げるとフン…と目を逸らされた。

「ピサロ?」
「もうお前にベホマなぞせん」
「あ、酷ッ!ってか元魔王のクセに大人げない!」
「なんとでも言え」

ギャーギャーと隣で騒ぎ続けても我関せずと無視を決め込む魔王にさらなる文句を言い続けた。

「元気ですね…ソロさん」
「まるで子供の喧嘩だわ」

その様子を少し離れたところで見守る仲間…というよりは保護者達は相変わらずの光景に顔を緩めたのだった。














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これもメモから。
最初の戦闘シーンを書いてみたかっただけです。

でも、心なしかピサロさん。勇者にベホマをかける率高い気がします…よ?
あ、私が勇者の回復しないからか…。


誰かいいタイトルの付け方を教えてください…。ものすごく安直。